シンプル思考は子どもでも練習すればできるようになる

シンプル思考のすごいところは、「原因」がわからなければ対処できない、といった正論だけで対応しない点にあります。世の中には原因のわからないことも多いですし、原因を究明している間にも時代が変わっていき、せっかくわかった原因が思ったほど役に立たないこともあり得ます。

確かに、世の中では、結果には必ず原因があるので、問題が生じたとき、そこには原因があることは明らかです。でも、原因を突き詰めない限り、解決はありえない、とまで決めつけてしまわないのがシンプル思考です。

原因はわからない。だけど、2度と同じ問題は生じない。もしそういう解決策があれば、原因を究明するより早く、解決策を実行すべきです。これは、子どもでも練習すればできることです。子どもには、原因を追及するだけの力も余力もないことが多いので、「どうしてそうなったんだ」と子どもにたずねても、はっきりした原因がわかならいことも多いのです。

犯人捜しはテレビのミステリーに任せましょう。ドラマなら放送時間内に犯人が見つかるのですが、現実には違います。犯人がわかったところで、解決しないケースもあります。原因がわかっても、対処ができない可能性もあります。

むしろ解決策から考えるべきです。先にも少し述べましたが、「これを解決すればすべて解決するのか?」または「これを解決すると、なにが解決されるのか?」を考えてください。たとえば「原因がわからなければ解決できない」と考えたとき、もしそれが解決できたとしたら、どれほどのメリットがあるのか。なにが解決されるのか。それさえ解決すれば、すべてうまくいくのか。

実は、私たちにふりかかる問題のうち、かなりの数は「解決してもメリットがない」と思っていいのです。私たちは毎日、それほど多くの問題を解決しているわけではないのですが、とりあえず、明日もまたなんとかやっていけます。そのうちに、そんな問題があったことさえ忘れてしまいます。

ふりかかったときには大きな問題のようですが、「それを解決してなんのメリットがあるの?」と考えた時、かなりの問題を考えるべきことから外せるのです。子どもでも、練習すればできます。親または教える人が少し指導してあげればいいのです。「これを解決したら、すべて解決するの? なにが解決するの? それはどれだけ大事なこと?」と。

「ぜったいに犯人を見つけないと気がすまない」と主張していたとしても、犯人がわかったからといって、なにができるのか、ということを考えておく必要があります。これは、もちろん日本は法治国家ですから、法律に違反したり、他人に迷惑をかけた人を放置しろと言ってるのではありません。

あくまでも「自分で解決すべき問題なのか?」という点だけでお話しています。警察など必要な機関に預けるだけで、いったん、自分の手から離れるとしたら、そうした方がいいと言ってるのです。

シンプル思考はゴールを目指すための考え方ですから、犯人捜しがゴールになる時以外は、犯人捜しだけに時間を費やすことは、必ずしもメリットは少ないというわけです。それよりも、その問題を置いておいても、前に進めるのなら進むべきです。シンプルに考えて、とりあえずゴールしてから、犯人を捜してもいいのですから。

子どもの場合は、この原因不明なことを気にするあまり、前に進めない場合もありますので、それがどれだけ損なことかを教えてあげるべきでしょう。また前に進みたくない言い訳として「原因がわからないから」とすることは、大人でもやりがちなことですから、注意したいものです。