結果を受け入れる謙虚な態度はいつの時代にも必要です

シンプル思考のすばらしいところは、1つのところに留まっていないことです。前にも述べたように、シンプル思考は、頑固一徹になることではありません。視野を狭めることでもありません。「一度決めたら、脇目も振らず、それだけをやる」という考えは、考えそのものはシンプルですし、行動もシンプルになりますが、シンプル思考ではないのです。

なぜなら、シンプル思考の目的は、成果なのですから、「とにかく早くゴールに到達すること」を考えたときに、選択肢(オプション)を常に持っていることが大切です。

次のバッターがヒットを打てば2塁へ走る。外野フライならタッチアップを考える。ピッチャーのタイミングがつかめれば盗塁する。とにかくどうすれば得点圏と言われる2塁まで行くかが重要な課題だとします。

ファーボールやデッドボール、あるいはボークで2塁に行くこともあり得ます。なにもしない選択です。一方、なにもしないでいたら、後続のバッターがアウトになってしまい、2塁へ行けずに残塁で終わってしまうかもしれません。

シンプル思考では、ゴールに早く効率よく到達したいわけですが、だからといっていつも成功するわけではないのです。このときは、結果を受け入れるしかありません。試合が終わったわけではなく、次の打席もあるのです。守備にも出なければなりません。こんなときに、いたずらに結果を引きずってもプラスになることは少ないでしょう。

不可抗力で失敗することもあります。悪天候などによってスケジュールが変わったり、自分の健康問題が浮上して、計画を中断しなければならないかもしれません。こういうことは「あること」なのですから、受け入れるしかないのです。

シンプル思考では、検証や反省をして次に活かせるものと、活かせないものを区別します。検証しても得るものが少ない、反省したとしても具体的な行動の変化につながらないのなら、どちらもやらなくてもいいのです。

それよりも、「これは失敗した。だったら、どうするか」の方が大事です。幸い、シンプル思考はスピーディーに行動しているはずですので、失敗しても、まだ時間的に余裕がある可能性があります。残りの時間でできることを、シンプル思考で決めて、すぐ取り組むことです。

あるいは、完全撤退もあります。撤退は難しい決断ですが、残りの時間をより有効に使うなら、この問題はあきらめて、別の問題に取り組んだ方がいいかもしれません。

恋人が来るからと、恋人の好物を買いに行ったら、売り切れていたとします。掃除はあきらめたのだから、せめてこれは確実に用意しておきたいところでした。でも、そのために電車に乗って時間を使ってまで買いにいくべきでしょうか?

残り時間から考えれば、その好物はないとしても、それにつぐ好物なら用意できるかもしれません。だったら、それを2種類用意したほうがいいかもしれません。そして素早く帰宅して、快適な空間づくりに少しでも役に立つ準備にとりかかった方がいいかもしれません。

とにかく恋人が来たときに、自分がまだ買い物で外にいる、という事態は絶対に避けなければなりません。このリミットまでになにができるかをチョイスすること。そのためには、失敗のことをいつまで引きずらないことです。