小さな成功を積み重ねていく日々はアグレッシブで楽しい

最初から大きな成果を目指すのではなく、いくつかの小さな成功を積み重ねていくことが、シンプル思考を具体的な成果に結びつけてくれます。

「顧客満足の最大化」といったシンプルな目標も、その達成にはいくつかのプロセスがあるはずで、各部門、各人で当面の目標は違うはずです。ただ、スタートした直後は、あくまでも「仮説」を実証していく段階にすぎません。いきなり多くの顧客から「すばらしい」と褒められるはずがないのです。

しかし、自分たちの最初の一歩によって、売り上げが少し伸びた、いままで売れなかったものが売れた、感謝の言葉を貰った社員が出て来たといった、ごくごく小さな成功を見逃してはいけないのです。

大きな成果をお祝いしたいから、小さな成功は黙って放置、というのではうまくいきません。小さな成功こそ、みんなで祝うべきです。

たとえば今回は恋人のために掃除すらも間に合わず、簡単な食べ物と飲み物で歓迎し、雰囲気だけは少なくとも味わってもらったあと、お気に入りの店に案内してとりあえずしのいだとします。その結果「また来たい」とか「今度はこういうことをしよう」といった言葉をもらったとしたら、これはもう小さな成功でしょう。祝うべきです。

相手のあることは(世の中の多くは相手がいます)、相手の反応を確かめながら進めていくことも大切です。いきなり完璧を狙うよりも、試行錯誤の余地を残しつつ、進めていくほうがムリもなく、余計な出費もないでしょう。つまり痛手が少なくてすみます。

シンプル思考によって、「これからはこっちだ」と決めたとしても、それを達成していくための日々は、辛く苦しいことも多いものです。いくらわかりやすい解決策を提示したとしても、その解決策の実行にはなにかしらの犠牲が生じるものです。時間的な犠牲、金銭的な犠牲、体力的な犠牲などいろいろ発生します。それをエネルギーとして解決するのです。

でっかい敵にぶつかって終わるのとは違い、勝負の行方は最後までわかりません。小さな成功を積み重ねていく方法は、ともすれば自信を失ったり、モチベーションが低下する日々を喜びに変えてくれます。

どんなに優れた解決策があっても、やる気がでなければ実行はおぼつきません。実行できなければ結果は得られません。私たちが必要なのは優れた解決策以上に、実行力と結果なのです。

だからこそ、小さな成功をバカにしてはいけないのです。それを積み重ねていく日々はアグレッシブです。階段を1段ずつ登るように、一つ成果を出せば、新たな景色が見えてきます。それがうれしいことであり、だからまた一歩、踏み出せるのです。

みんなで祝うほどの成功も得られないことがあります。それでも、自分としてはきちんと評価すべきです。そこに謙遜は不要です。明らかに数ミリでもいいから前進しているのなら、ちゃんと成果として認識すべきです。それを自慢する必要はありませんが、自分の気力が萎えれば、ゴールは遠ざかるのですから、ちょっとでも自分に有利なデータは大切に確認することをお勧めします。

テストでいえば、全体の点数は変わらないとしても、いままで取れなかった分野の問題で1点でも取れれば、ガッツポーズをしてもいいのです。つぎはそれを2点にすれば全体の点数にも影響してきますから。