複雑な問題をシンプルにするためにやるべきことは?

複雑に見える問題も、分解していけばシンプルになります。「恋人が来るのに部屋が汚い、掃除をしたいが、時間がない、自分だけではムリ」と悩むのか。それとも「そもそも掃除は必要か。必要とすればどの程度の掃除か」という問題に変換できれば、かなりシンプルになっていきます。

ですが、そうした考えを邪魔するのは「恋人」であるし、「よく見られたい」という気持ちだったりするのです。このように、ビジネスでも社会でも、多くの問題を複雑にしているのは、利害関係者たちの「気持ち」であったり、「利益」だったりします。日本は伝統的に「根回し」で物事を進めていく文化があります。「解決策はこれだ、これしかない」と理論的に考えて行動することよりも、「みんながこっちだというから、こっちへ行こう」と行動するほうが多いと言われています。

さらに、日本の文化としては「察する」ことが重視されます。問題点として明らかにされているものだけではなく、その陰に隠れて表面には出ていない問題までも「察して」対処することが、もっとも上等な解決策とされます。このため、察するための手順がとても長くなり、解決が遅れることもあり得ます。

根回しも察する姿勢もステキなことですが、問題解決だけに焦点をあてたときは、余計なことにもなりかねません。

では、シンプル思考で問題を解決したいのなら、人の気持ちはどうでもいいのでしょうか?

もちろん、そんなことはありません。私たちは人間なのです。心がある生物です。気持ちを無視してまでして、なにかを解決しても、それにどれほどの価値があるのでしょうか。解決できたとしても、誰も喜ばないのなら、解決しないほうがいいのではないでしょうか。

シンプル思考は、心を無視する考え方ではありません。気持ちの問題もしっかり考えます。ただし、混ぜない。切り分けることです。心の問題を、解決の前にケアするのが根回しであり、察する姿勢です。これを意識して取り入れれば、「心の問題は、解決するプロセスの中で対応する」といったアイデアも生まれるでしょう。

掃除をしないと決めたとしても、恋人には気分よく過ごしてほしい。だからできる限りのことはする。相手の反応を見ながら、対処してもいいのです。昨夜は残業で大変だったので寝坊した、だから掃除をする時間がなかったと正直に言ってもいいでしょう。恋人としてお互いのことを大事に思うのなら、相手もわかってくれるはずですし、それを理解してくれないのなら、その恋は双方向にはならない可能性がありますよね。

第一、相手が気に入るぐらいの掃除とはどういものでしょうか。見えないところまでピカピカにするようなものでしょうか。掃除の専門家を雇うほどのものでしょうか。どこまでやれば明確にならない問題は、解決のしようがありません。

目標を明確に設定し、時間(スケジュール)の中で、できるだけの努力をする。それによって問題が解決し、できれば100点を取りたい。そういうものではないでしょうか。

シンプル思考で楽しく、問題を解決して、人生をより豊かなものにしていくことができます。複雑な問題をよりシンプルにするためには、このように「解決のためにはあとで考える、あとで対処する」ことを外していき、コアな部分にまず向き合うことです。