少ない努力で最大の効果を得るためには優先順位をつけていこう

問題を解決する。その多くは、誰もやったことのないことへの挑戦です。前例のあることなら、マニュアルに沿って対応すればいいわけですが、マニュアルにないから問題になっているわけです。つまり、マニュアル化されているものは、問題とは言えません。

壊れた蛇口を取り換える。フリーズしたPCを回復させる。間違って消したデータを復旧する……。たしかに問題は問題ですが、ネットなどで検索すれば、やり方が懇切丁寧に出ているような問題は、シンプル思考もなにもなく、淡々とマニュアル通りに遂行すれば解決します。

顧客満足を最大化する、恋人に大切なパートナーと認めてもらう、といった問題もマニュアルがあるかもしれません。ですが、このような問題の解決策はさまざまなバリエーションがあるので、壊れた蛇口を取り換えるようにはいきません。

複数の解決策があるときは、どれが一番いいのかが重要ですし、もしかすると未知の解決策があるかもしれない以上、より慎重に取り組む必要があります。

このときに解決策として、着手可能なものを並べてみます。そして「これを解決すればすべて解決するのか?」と自問自答してみましょう。すべての解決はムリだと最初から考えている場合は、「これを解決すると、なにが解決されるのか?」をもう一度、考えてみてください。

その結果、もっとも自分の望んでいる解決、効果の高い解決が見込めるものから着手することです。ただし、3つ選択肢があって、1はもっとも効果的だが60日ぐらいかかりきりになる。2は効果はそこそこだが7日でなんとかなる。3は効果は不明だがいますぐるできる、といったように、労力などに大きな差があるときは、3を試してみもいいですし、並行して2もやりながら、3にも取りかかってもいいのです。

すぐに成果が出てきて、最初に思っていたほどの問題ではなくなったら、3が途中でもやめてしまってもいいかもしれません。このように、長時間かかりそうな解決策、たくさんの資金が必要そうな解決策は、より慎重に対応したほうがいいでしょう。

というのも、「完璧に解決できる方法はこれだけ」と考えたとき、なにがなんでも60日、かかりきりになってしまう可能性があります。これは人にもよりますが、現実的ではないかもしれません。この問題を解決することは可能かもしれませんが、その間に、ほかの問題が発生しているかもしれず、それに対応できないからです。

優先順位は、必ずしも「完璧な解決ができる方法」を1番にしなくてもいいのです。私たちはよく経験していますが「時がくれば解決する」といった問題も、皆無ではありません。なにもしないのが、一番よかった、などという笑えない話もあります。

まして、問題の重み(重要性)も、時間や環境の変化によって変わります。昨日までは最重要だったのに、今日の朝刊に出ていたニュースのおかげで、もはや、そのことは考慮する必要がなくなった、なんてこともあり得るからです。

シンプル思考では、どういう問題もシンプルに考えます。優先順位もシンプルに考えていいのです。「これをやればパーフェクトだけど、そんな時間はないから、こっちで」という選択も必要です。