創造的な解決策は愚直なまでのシンプル思考から生まれる

短絡的な思考とシンプル思考は違います。どう違うのか。短絡的な嗜好は、いま見えている問題の姿カタチから発想して、手っ取り早い解決策(と思われる策)に飛びつくもの。これもまったくムダではなく、瞬時の判断が必要なことなら有効な場合もあります。

とはいえ、短絡思考の最悪なところは、目の前に見えてる姿カタチにまどわされてしまい、その先にあるものが見通せず、解決できたと思ったのに、ほとんど成果が得られなかったり、むしろ悪い状況になっていることがある点です。

シンプル思考は、ある意味でいま見えている姿カタチには惑わされず、問題の本質を見抜いて創造的に解決していくものです。創造的な解決は「空想」や「妄想」ではありません。しっかり事実に基づいて考えていかないと、導きだせません。ただ、いま見えている部分だけで判断しないので、その解決策はかなりの創造性を内包しているのです。

独創的な方法や創造的な解決策は、実は、間が抜けているので、ほかの人から見ると「すごい」とか「よくわからない」となってしまいます。いま見えている「1」に対応すると「2」という結果に辿り着く可能性が高くなりますが、もし「5」を見通していたら、一足飛びに「5」へ行く方法を考えることになります。これが創造的な解決策です。

ただ、いきなりそんなスゴイものが出てくるはずはないのです。シンプル思考の積み重ねによって、どんどんほかの人たちよりも先へ行っているから、結果的にかなり創造的な解決策になるのです。

この利点はスピードの短縮だけではありません。1の次は2。2の次は3とやっていると、それまでに資金がなくなったり、外部環境の変化によって挫折する可能性もありますが、一足飛びに5まで考えていれば、もし資金の枯渇や外部環境の変化があったとしても、3か4まで行ける可能性があるのです。

これは1つの問題だけをシンプル思考で対応して、ほかの問題は通常のやり方でやっていたのでは得られない効果です。シンプル思考の積み重ねが、1から5へ。5はムリで4だったとしても、次は4から8へ、そして10へと大きな飛躍へ繋がるのです。シンプル思考を意識したら、あらゆる問題をシンプル思考で対応していくことです。愚直なまでに、シンプルに考えてみてください。

これは「いま自分にできるベストなことはなにか」といった命題にも対応できます。つまり生き方そのものです。シンプル思考であらゆることに対応していくことによって、人生そのものが飛躍的に創造的になっていきます。

シンプル思考は短絡思考ではありませんので、時には試行錯誤を素早くやって糸口を見出すこともあれば、手を付ける前に調査に十分に時間をかけることもありますし、以前にもお話したように自分の考え方だけに凝り固まらず、人から意見を聞いて取り入れていく度量も必要になります。

ときには、すべてを忘れて遊びに夢中になることも重要です。そこに「これは使える!」というひらめきが隠れていることも多々あるのです。スポーツ、ゲーム、恋愛、飲食、旅行、読書や映画鑑賞などからもヒントは得られます。

シンプル思考は、解決のためにはできるだけシンプルに考えようというわけですから、問題の核心を突く必要もあります。洞察力や「直感」は、地道に繰り返しシンプル思考で対応しているうちに磨かれていきますので、焦らずに身につけていくことです。