コツコツと考えて大胆に行動することでブレイクスルーする

ではシンプル思考の考え方をもう一度、振り返ります。問題に直面したら、なにをしますか。見た目の問題の姿カタチにとらわれず、問題の本質を見極めることです。これは一瞬でそれを見抜くことは難しいのですが、徐々に、タマネギの皮を剥くように、引き剥がしていくことは可能です。

問題を見れば、「こうすれば解決できる」とか「ここを解決しなければ突破できない」とすぐわかる部分もあるはず。だったら、そのときに「それを解決したらすべて解決するだろうか」と自問自答してみることです。「いや、それだけじゃ解決しないぞ」となったら、実は最初の解決策は本質からはズレています。もっと根本的に考えるべきところがあるのです。

これを繰り返していくと、いくつかの解決策が残ります。その中から優先順位を考えて対応していくのです。優先順位には「いますぐできること」と「これをやるには時間がかかる(お金がかかる、助けが必要など)」などの条件付きのものがあります。

どんなに条件が厳しくても「これをやらない限り、突破できない」というのなら、なにを置いても、そこに取り組まなければなりません。ほかに「いますぐできること」があったとしても、それでは突破できないのですから、そんなことをしている暇はないのです。

ブレイクスルーできる人は、このように、本質を掴んだあとに、「ここをやらなければムリ」という部分に多くのリソースを傾けることのできる人です。自分の時間を最大限に割く、お金をかける、人の助けを借りる……。あらゆる資源をそこに向けていきます。

これが、よく知らない人から見れば「あの人は大胆だ」と言われるのです。大胆なのは、たとえば、勢いよくジャンプした場面だけを見たからであって、それまでに計測したり計算していた部分を見ていないからです。その前の部分を見れば「慎重な人」とか「分析力のある人」と呼ばれるでしょう。

その逆はありません。慎重な人や分析力のある人は、最後にジャンプ(つまり大胆な行動)をして結果を求めない限り、ただ慎重なだけ、ただ分析好きなだけ、ということになってしまうのです。

こうなると、結果にこだわって、解決策を実行する人は、大胆な人に見えて当然だと言えます。みなさんは、誰かに「あなたは大胆ですね」と言われたことはあるでしょうか。もし、そういうことを言われていないとしたら、もう少し結果にコミットしてみてはいかがでしょうか。

バットを振らなければホームランは生まれません。ボールを蹴らなければシュートはできません。その最後に行動した大胆な部分だけが重要なのではないのです。とはいえ、シンプル思考でわかるように、「点を取らなければ勝てない」のなら、点を取るための一番効果的な行動を大胆に取るしかありません。

こうした大胆な行動が取れるように、プロの選手は素質を磨き、練習を繰り返します。だったら、私たちも同じです。シンプル思考で大胆にブレークスルーしたいのなら、日々、シンプル思考を磨く、練習するしかないのです。今日から、あらゆることをシンプルに、本質をついた解決先を考えて、行動してみてください。